壮行会の会場で、先輩が声を掛けてきた。部署は違うけど、会社の中で僕が敬意を抱く数少ない人。この人には認められていたい。この人にだけは、役立たずだとは思われたくない。そんな人。
先輩は、僕の直属の上司の名を聞いた途端、「えらい周辺やなぁ。あの人はダメだよ、・・・頑張らなきゃな」と口にした。翻訳すれば、僕の仕事は部署の基幹システムから見たら辺境地帯みたいなもので、上司は最悪。一人でも、努力していかないとダメになるよ。ということだ。


確かに、「上司」というよりは「隣の人」のほうが正しいし、「上司」としての役割を期待しているわけでも、期待されているわけでもない。そんな人ではある。何にせよ、僕に必要なのは、彼の技術を受け継ぐこと。それは変わらない。そのために努力すること。それは僕自身の問題だし、自分のペースでやればいい。ゆっくりでいいから、進むこと。


その方針を貫こうと思っていたけど、先輩の言葉はこれで本当にいいのだろうかと疑問符を突きつける。
自分のペースは遅すぎるのではないだろうか。こんなことでは、先輩に「くだらない奴」と思われてしまうんではないか。
明日、死んでしまってもいいけど、先輩には嫌われたくない。そんな自分。


どんな環境でも、自分にできる事を、できる範囲でやることしかできない。自分を見失わずに。
そうだよね。