手のひらと空気の境界

 いつもと変わらない帰り道を歩く。左手に鞄を持って。右手が揺れる。手のひらの感覚。空気と皮膚の境界線。自分の身体を感じる。この体を維持するために生きているのだろうか? この体を維持することが生きることなのだろうか? 魂の宿っていない身体。僕の手は何のためにあるのだろうか? 僕の手は何かを掴むことができるだろうか?