超人には・・・なれそうにないなぁ

超人計画 (角川文庫)

超人計画 (角川文庫)

「まず前提として、『人生は無意味だ』という考え方がある。そして無意味な人生は耐え難い。だから昔の人々は死後の天国を設定し、『善行を積んで死ねば神の国に行けるよ』という捏造ストーリーを思い描いて、この人生の虚無から目をそらした。遠い所に架空の『楽園』を設定して、虚しい現実を肯定しようとした。近代に入ってからは神の国物語が時代遅れになり、『科学のもたらす未来ユートピア』『人間彼女との至高の愛』『頑張って仕事して、会社繁栄、国家繁栄』等々のストーリーがそれに取って代わったが、いまここではない遠方に幻の価値を設定して、その価値によって現在の生活の虚しさを肯定しようとする精神構造は、百年前と何ら変化していない。そして、そんな精神構造をニヒリズムっていうんだよ。もちろんニヒリズムは打破すべきだ。なぜなら青い鳥は虚無でニヒルだから、いくら探しても見つからない。仮にこの手で抱きしめたとしても、その瞬間にサラリと解けて消え去るものだから・・・・・・