1998年

『走る』−坂本真綾

 この曲を聴いていた頃は、もう遥か昔。あのころの僕は、何を考えていたのだろうか。今年が2007年だから、もう9年も前のことになるんだよね。僕はまだ学生だったはずだけど、何も思い出せない。せめて、記憶の欠片でも見つけることができたなら。・・・でも、感傷に浸るだけなのなら、意味も無いのかな。
 僕が僕であるということは、現在の僕という表面的な存在だけではなくて、これまで生きてきた記憶の蓄積があるからなんだと、なんだかそんなことを思ったりもする。いろんなことを忘れようとばかりして、いろんなものを捨ててきたけど、それは間違いだったのかな。
 左に右に揺れてばかりで、なにがホントの自分なのか分からなくなる現在の僕。過去の自分をうまく再構築することで、僕という人間をこの地に立ち上げることができるのだろうか。ってそんなことに、多少の努力をしてみようかと感じ始めている自分。
 そう、多分それは、表面的に流されやすい性格、というより存在の希薄さに起因する数々の失敗をどうにかしたいと望んでいる僕の小さな一歩なのだ。