SPSNシンポジウム「格差社会と社会政策」

 心療内科の予約を変更までして参加。社会的問題を整理することで、僕個人が抱える個人的な問題点だけが浮かび上がってくるのではないかという多少の期待感と樋口先生が見たいというただの欲求がその理由。いや、単に、樋口明彦さんと本田由紀さんのファンなだけで、ただのミーハーなのかも。そんなこんなで、久しぶりに大学へ足を踏み入れたのでした。
 初めて見た本田先生。Web上の写真やインタビューから受ける印象よりもスマートで学者っぽい人でした。報告の内容は、著書の内容のダイジェスト的なものでしたが、質問への応答の誠実さが印象的。本田先生の言葉には地道に積み上げてきた知識と経験に裏打ちされたことを感じさせる何かがありました。そして、取り組む学問の射程と限界を知りつつ、それと向き合いながら誠実に生きてる人だと感じました。素敵です。
 それから、このシンポジウムに参加したきっかけであり、そして期待通りに最も面白かったのは、樋口先生。「社会的包摂」「脱制度化」といったキーワードで展開される樋口先生のトークは大好き。ここまでいくと、もはや、ただのファンですね。今回のシンポジウムでは、「脱制度化された声無き若年層を顕在化させた」という視点で「ニート」という語彙を捉え直す意見が印象的でした。「討論者」という立場上、どのような発言をなさるのか気になっていたのですが、樋口さん独自の意見を展開されていてとても楽しませていただきました。やっぱり樋口さんはいいです。

 それにしても、参加費300円という破格の安さと、会場の豪華設備。学者の研究会だからできることなのでしょうか。民間団体が同様のことをやろうとしたら確実に赤字だと思う…。これが格差社会か? 半分冗談だけど、でも学者の馴れ合いの場なのかもしれないと感じたのも事実。先生方にとっては社交の場として機能することも大切なことなのでしょうか。

 久しぶりに、会社とLIVE以外の場所に行きました。楽しかった。それなのに、帰り道の精神状態は、なんだか最悪。どうして?

SPSNシンポジウム「格差社会と社会政策」

★SPSN(社会政策研究ネットワーク)設立10周年記念シンポジウム
●日時  2006年7月22日(土) 午後1時〜午後5時(参加費300円)
●場所 東京大学本郷キャンパス・山上会館大会議室
●テーマ:「格差社会と社会政策」

★総合司会:
三重野卓氏(山梨大学
武川正吾氏(東京大学

★第1報告
「若年雇用の現状と社会政策の課題」
報告者:本田由紀氏(東京大学

★第2報告
「貧困・排除の固定層から見た日本の社会政策の失敗」
報告者:岩田正美氏(日本女子大学

★第3報告
「「格差社会」への社会学的視点――社会意識・社会構造・社会政策」
報告者:藤村正之氏(上智大学

★討論者:
下平好博氏(明星大学
樋口明彦氏(法政大学)

★主催:
SPSN(社会政策研究ネットワーク)