孤立化

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

 「自己への嗜癖」は、確固たるアイデンティティに基礎づけられることを必要としない社会故にこそ生じる、不可避な現象だと見なすことができよう。逆に言えばこうした社会では、「本当の私」や「本当の愛情」や「本当にやりたいこと」を望めば望むほど、それが手に入らず、結果として立ちすくんでしまわざるを得ない。なぜならば、最初からそうした「本当のもの(=アイデンティティ)」が手に入らないところに、個人化の本質があるからだ。