生まれ変わりたいの

 何も起こらない小説が読みたいと思いながら、書店をうろついていたけど、なかなかそんな小説は無いみたいで、結局何も買わずに店を出た。僕の周囲ではいろんなことが起こっているはずなのだけど、僕にとってはそれらは何の意味も持たず、ただ何かが起こるとすれば、それは周囲との関係性ではなくて、自意識に取り込まれた状態で発生する自己閉鎖空間なのだ。そんなことばかりを繰り返してきた僕の人生には、他者との関係というものは存在せず、ただそこにあるのは心の壁で隔離された肥大化した自意識だけ。そろそろ、どうにかしたいのだけど、どうしたらよいのかもよく分からず、資本主義社会の一構成員として働き続けることにも疲れてきて、さてどうしたものやら。
 さて、希望とはなんだろうか? 僕は、他者に出会わなければならない。心の壁を取り払って。それだけは分かっているのだけど、27年間をやり過ごしてきた処世術から逃れれることは難しい。メンタルクリニックの先生にすら本音を吐露できないような腐りきった自己保身の塊のような人間なのだから。何を守るべきなのか。何を捨てるべきなのか。何を生きるべきなのか。何かを変えないと、何も変わらないのに。